美容クリニックの広告の読み方|法律で禁止されている表現を知っておく
美容医療の広告には、法律とガイドラインで書いてはいけないことが決まっています。それを知っておくと、クリニックのサイトを見たときに「ここは踏み込みすぎている」と気づけるようになります。
ルールを守っていないことが直ちに施術の質を意味するわけではありません。ただ、規制を把握していない、あるいは把握したうえで無視している事業者であることは分かります。判断材料の一つとして使えます。
医療広告等ガイドラインとは
医療機関の広告は医療法によって規制されています。その運用を示したものが、厚生労働省の医療広告等ガイドライン(正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」)です。2026年3月30日に最終改正されています。
さらに2025年8月には、美容医療に的を絞った通知「美容医療に関する取扱いについて」が出ています。カウンセラーだけで治療内容を決めてしまう事例などを受けたもので、広告についても具体的にどこが違反にあたるかを示しています。
以下は、これらが禁止している主なものです。
1. 効果や安全性を保証する表現
内容が虚偽にわたる広告は、罰則付きで禁じられています。ガイドラインは具体例として次を挙げています。
絶対安全な手術です!
どんなに難しい症例でも必ず成功します
一日で全ての治療が終了します
厚生労働省の認可した○○専門医
加工・修正した術前術後の写真等の掲載
「絶対安全な手術等は、医学上あり得ない」というのが理由です。2025年の美容医療の通知でも「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった表現が違反例として名指しされています。
痛みの感じ方も人によって違うため、「痛くない」と言い切ることも同じ問題を抱えます。
代わりに書けるのは、「麻酔の取り扱いがある」「冷却しながら照射する」といった事実です。
2. 他院より優れているという表示
比較優良広告として禁止されています。
日本一の実績
地域No.1のクリニック
最高の技術
芸能人も多数通院
重要なのは、それが事実であっても禁止されるという点です。「症例数が日本で最も多い」ことが本当だとしても、そう書くことはできません。医療機関の優劣を広告で示すこと自体が認められていないためです。
厚生労働省のQ&Aは、順位付けについてもはっきり答えています。ランキングサイトを装って医療機関にランキングを付し、特定の医療機関を強調している場合は比較優良広告に該当する可能性がある、というのが回答です。
3. 患者の体験談
治療の内容や効果に関する患者の体験談は、掲載できません。
患者等の主観または伝聞に基づく体験談の広告は、省令で明確に禁止されています。後述する「限定解除」の対象にもなりません。
Q&Aは、医療機関にとって都合のよい感想だけを取捨選択して強調することは虚偽・誇大にあたる、とも述べています。「利用者の声」「みんなの評判」といった見出しで効果に触れているページは、この点に抵触している可能性があります。
4. 説明のない施術前後の写真
施術前後の写真は、それだけでは掲載できません。掲載するには、次の情報を併記する必要があります。
- 施術の内容
- 標準的な費用
- 主なリスク
- 主な副作用
写真だけが大きく並んでいて、費用やリスクの記載が見当たらない場合、この要件を満たしていないことになります。加工や修正を加えた写真は、そもそも虚偽広告です。
自由診療で必ず書かれているべきこと
ヒゲ脱毛もAGA治療も自由診療です。本来、広告できる事項は法律で限定されていますが、患者が自ら求めて入手する情報(ウェブサイトなど)については、一定の要件を満たせばその限定が解除されます。これを広告可能事項の限定解除といい、次の①〜④をすべて満たす必要があります(③④は自由診療の場合)。
- 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること
- 問い合わせ先が記載されているなど、容易に照会できること
- 通常必要とされる治療内容・標準的な費用・治療期間及び回数を掲載すること
- 主なリスク・副作用に関する情報を提供すること
つまり、料金だけが書かれていてリスクの記載がないページは、要件を満たしていません。2025年の美容医療の通知も、問い合わせ先を明示したウェブサイトであっても、治療内容・費用・リスク・副作用の詳細が情報提供されていなければ違反になるとしています。
ガイドラインは掲載場所にも注文を付けています。リンク先の別ページに逃がしたり、利点の説明と比べて極端に小さな文字で載せたりしてはいけない、と明記されています。リスクの記載が見つけにくいこと自体が問題だということです。
未承認の薬を使う場合はもう4つ
国内で承認されていない医薬品を自由診療で使う場合は、④の要件としてさらに次の4点が必要です。
- 未承認医薬品等であることの明示
- 入手経路等の明示
- 国内の承認医薬品等の有無の明示
- 諸外国における安全性等に係る情報の明示
AGAで「発毛プラン」のような名称の薬を扱っている場合、これが効いてきます。ミノキシジルの内服薬は国内未承認なので、扱うなら4点の明示が求められます。
料金表示で見るべきところ
景品表示法の観点からは、次を確認します。
- 税込か税別か(税別の総額だけを大きく出しているケースがあります)
- 何が含まれているか(麻酔代・剃毛料・初診料・薬代が別途かかることがあります)
- 回数とその後(コース終了後の追加1回あたりの料金)
- 「最安」の根拠(何と比べての最安なのかが書かれているか)
「今だけ」「先着◯名」といった表示にも注意が必要です。Q&Aは、費用を強調した広告は品位を損ねるもので医療の広告として適切ではなく、厳に慎むべきものだ、としています。急がせる書き方をしているページでは、いったん立ち止まったほうがいいです。
アフィリエイトサイトを読むときは
第三者が運営するサイトはどうなるのか、という点も整理されています。
厚生労働省のQ&Aは、個人が運営するウェブサイトやSNS、第三者が運営するサイトへの掲載について、「医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しません」と答えています。
裏を返せば、医療機関が費用を負担して掲載を依頼していれば誘引性が認められ、広告として規制の対象になるということです。成果報酬を受け取って申し込みへ誘導するアフィリエイトサイトは、この構造にあてはまります。雑誌の「記事風広告」が広告として扱われるのと同じ理屈です。
加えて2023年10月から、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法違反になりました。事業者の広告であることを一般消費者が判別できない表示が禁止されているため、アフィリエイトリンクを含むページには「広告」「PR」といった表示が必要です。
当サイトも、報酬が発生しうるリンクを含むページには冒頭に表示しています。掲載の考え方は広告掲載ポリシーにまとめています。
まとめ
- 効果や安全性を保証する表現は、罰則付きで禁じられている虚偽広告にあたる
- 他院より優れているという表示は、事実であっても禁止
- 治療の効果に関する体験談は、例外なく掲載できない
- 施術前後の写真には、内容・費用・リスク・副作用の併記が必要
- 自由診療は、問い合わせ先・治療内容・標準的な費用・治療期間及び回数・リスク・副作用がそろって初めて広告できる
- リスクの記載を小さくしたり別ページに逃がしたりすることも認められていない
- 医療機関が費用を負担して掲載を依頼したサイトは、第三者の運営でも広告にあたる
出典
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-08-18確認)
- 厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(2026-08-18確認)
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号(2026-08-18確認)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」(2026-08-18確認)
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