ヒゲ脱毛は何回で終わるのか|回数の目安と、回数だけでは決まらない理由
「ヒゲ脱毛は5回で終わる」と書かれていることもあれば、「15回は必要」と書かれていることもあります。どちらも間違いではありません。目指す状態が違えば、必要な回数も変わるからです。
この記事では、回数がどう決まるのかを毛周期のしくみから整理し、そのうえで総額とリスクをどう見ればいいかを説明します。
なぜ「回数」で語られるのか
医療機関のレーザー脱毛は、毛の黒い色素(メラニン)にレーザーを吸収させ、その熱で毛乳頭や皮脂腺開口部を破壊する施術です。国民生活センターの資料は、この「毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為」が医行為にあたるため、医療機関でしか行えないと整理しています。
このとき、熱が発毛組織まで届くのは毛が「成長期」にあるときだけです。毛には成長期・退行期・休止期という周期があり、同じ部位でもすべての毛が同時に成長期にあるわけではありません。1回の照射で処理できるのは、そのとき成長期にある毛だけです。だから間隔をあけて何度も照射する必要があり、「回数」で語られます。
照射の間隔は一般に6〜8週間程度あけます。間隔を詰めても、成長期に入っていない毛には効かないため、回数を早く消化するだけになります。
目安になる回数
先にお断りしておくと、「ヒゲ脱毛は何回」という公的な基準はありません。以下は各クリニックが公表しているコース構成から見た目安で、行政や学会が定めた数字ではありません。
ヒゲは体の他の部位に比べて回数がかかりやすい部位です。毛が太くて密度が高く、男性ホルモンの影響を受け続けるためです。
| 目指す状態 | 回数の目安 | かかる期間の目安 |
|---|---|---|
| 自己処理の回数が減る | 5回前後 | 8〜12か月 |
| 青みが目立たなくなる | 8〜10回程度 | 1年〜1年半 |
| 毛がほとんど残らない状態 | 10〜15回以上 | 2年前後 |
多くのクリニックが「ヒゲ3部位5回コース」を基本のプランにしていますが、これは自己処理が楽になるところまでの回数だと考えておくほうが実態に近いです。5回で完了せず追加照射を契約することは珍しくないため、コース料金だけでなく、追加1回あたりの料金も申し込み前に確認しておくことをおすすめします。
回数には個人差があります。毛量・毛の太さ・肌の色・ホルモンの影響の受け方によって変わり、事前に何回で終わるかを確定することはできません。
「永久脱毛」という言葉の意味
広告で見かける「永久脱毛」には、日本の法令上の定義がありません。よく引用されるのは、施術後一定期間が経った時点での毛の再生率を基準にする考え方ですが、これは海外の業界団体が用いてきたもので、公的な基準ではありません。
はっきりしているのは、毛が二度と生えてこないという意味ではないということです。時間が経ってから産毛のような毛が出てくることはあり、その場合は再照射が必要になります。回数を重ねたからといって、毛が完全になくなることが保証されるわけではありません。
なお行政は1984年の通知以来、いわゆる「永久脱毛」行為を医行為として扱ってきました。エステサロンの光脱毛は、医療機関で行うレーザー脱毛とは出力も目的も異なり、医行為に該当しない範囲の一時的な除毛・減毛にとどまります。
医療脱毛とサロンの光脱毛の違い
| 医療レーザー脱毛 | サロンの光脱毛 | |
|---|---|---|
| 行う場所 | 医療機関 | エステサロン |
| 施術者 | 医師または看護師 | エステティシャン |
| 行為の性質 | 医行為(毛乳頭等の破壊) | 医行為に該当しない範囲 |
| 目的 | 発毛組織へのダメージ | 一時的な除毛・減毛 |
| 麻酔 | 取り扱いあり | 使用不可 |
| 肌トラブル時 | その場で診察・処方が可能 | 医療機関の受診が必要 |
回数の目安として挙げた数字は、いずれも医療レーザー脱毛のものです。国民生活センターは「エステでの施術は、医療機関に比べて脱毛効果は低く、皮膚への影響は小さいと考えられます」としています。
総額で見る
回数の話が意味を持つのは、それが総額に直結するからです。確認しておきたいのは次の点です。
- コースに含まれる部位(「ヒゲ3部位」に首やもみあげは含まれないことが多い)
- コース終了後の追加1回あたりの料金
- 麻酔代が別料金かどうか
- 剃毛料やキャンセル料の有無
- 表示価格が税込か税別か
コース料金が安くても、追加照射の単価が高ければ、通い終わるまでの総額は逆転します。5回で終わらない前提で、追加分まで含めた金額を比べてください。
施術のリスクと副作用
ヒゲ脱毛は自由診療で、公的医療保険は適用されず全額自己負担です。皮膚の内部の組織を破壊する施術である以上、トラブルが起きる可能性は残ります。国民生活センターには、脱毛施術による危害の相談が継続して寄せられています。
主なリスク
- 日焼けした肌や色素の濃い部位では、やけどが生じるリスクが高まります
- 硬毛化・増毛化(照射した部位の毛が以前より硬くなる、または増える現象)が起こることがあります
- 施術後に一時的な色素沈着が生じることがあります
- 回数を重ねても、毛が完全になくなることが保証されるものではありません
主な副作用
- 照射時の痛み(ヒゲは毛が太く密度が高いため、体の他の部位より強く感じやすい部位です)
- 照射直後の赤み・ほてり・むくみ(通常は数時間から数日でおさまります)
- 毛のう炎(毛穴の炎症。ニキビに似た発疹が出ることがあります)
- 施術部位の乾燥やかゆみ
症状の程度や頻度には個人差があります。実際に受けられるかどうかは、医師の診察を受けたうえで判断してください。
国民生活センターは消費者へのアドバイスとして、「ホームページや広告の情報をうのみにせず、自ら十分な情報収集を行うとともに、施術前にリスク等に関する説明を十分に求めましょう」と呼びかけています。メリットだけが強調された広告は珍しくありません。
まとめ
- 1回の照射で効くのは成長期の毛だけなので、間隔をあけて複数回受ける必要がある
- 自己処理が楽になるまでは5回前後、毛をほとんど残さない状態を目指すなら10〜15回以上が目安。ただし公的な基準ではない
- 回数には個人差があり、事前に確定することはできない
- 「永久脱毛」に法令上の定義はなく、毛が二度と生えない意味でもない
- コース料金だけでなく、追加1回あたりの料金と麻酔代を含めた総額で比べる
- 自由診療で全額自己負担。やけど・硬毛化・毛のう炎などのリスクがある
出典
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」平成13年11月8日 医政医発第105号(2026-08-18確認)
- 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」2017年5月11日(2026-08-18確認)
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正(2026-08-18確認)
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